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市議会議員の不当要求行為に関する調査結果を報告

2021年2月22日(月)全ての記事 > 活動報告

2月22日の市議会本会議初日に、市議会議員の不当要求行為に関する調査特別委員会の竹中隆一委員長が調査結果を報告いたしました。

以下、調査報告書を掲載します。

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令和3年(2021年)2月22日

姫路市議会副議長
石堂大輔様

市議会議員の不当要求行為に
関する調査特別委員会委員長
竹中隆一

市が不当要求行為と認定した市議会議員の行為に関する事項である平成30年度次期道路台帳システム計画策定業務委託及び令和元年度公園のフェンスの嵩上げに関する調査報告書

本委員会に付託され調査を行ってきた、市が不当要求行為と認定した市議会議員の行為に関する事項である平成30年度次期道路台帳システム計画策定業務委託及び令和元年度公園のフェンスの嵩上げに関する調査の件について、下記の通り調査結果を報告します。


1 調査経緯

令和2年第3回姫路市議会定例会において、市議会議員による不当要求行為のおそれがある事案が、2件発生していることが判明した。その後、公文書公開手続を経て入手した不当要求行為等に係る記録票兼報告書(以下「記録票兼報告書」という。)により、2つの事案が、平成30年度次期道路台帳システム計画策定業務委託に係る事案(以下「道路台帳システム事案」という。)及び令和元年度公園のフェンスの嵩上げに係る事案(以下「公園フェンス事案」という。)であることが確認され、内容を確認したところ、刑法に抵触する可能性まで懸念される事案であったため、令和2年10月9日付で、議長名で市長に対し、弁護士等の専門家による判断を仰ぎ、本事案について再審査を行うよう申し入れを行った。

その結果、11月27日付で、市長の諮問を受けた姫路市職員倫理審査会(以下「職員倫理審査会」という。)は、2つの事案について、「姫路市職員の倫理と公正な職務の確保に関する条例」(以下「職員倫理条例」という。)第2条第4号に規定される不当要求行為に該当する行為があったものとして取り扱うべき旨を市長に答申した。同日、市長は2つの事案を、不当要求行為に該当するものとした。

その後、改正した記録票兼報告書等の公文書公開手続を経て、2つの事案の行為者が、松岡廣幸議員であることが判明した。

11月30日及び12月14日の議会運営委員会の議論を経て、同委員会の委員を提出者とし、「地方自治法第100条の規定による事務の調査を行うための特別委員会の設置」に関する議案を、令和2年第4回姫路市議会定例会の最終日である12月21日に提出し、「市議会議員の不当要求行為に関する調査特別委員会」の設置が議決された。

同日、開催された本委員会において、百条調査権に基づき、議長を通じて、市長に対し、平成30年5月15日の道路台帳システム事案に絡む記録票兼報告書、令和元年6月5日及び6月21日の公園フェンス事案に絡む記録票兼報告書の写し、並びに職員倫理審査会で用いた、各面談日における音声データの複製(以下「音声データ」という。)及び全文反訳書の写し等の記録提出を求めるとともに、本委員会の運営等における法的安定性や公平性を担保するため、兵庫県弁護士会から推薦を受けた弁護士に意見・助言等を求めることを決定した。

令和3年1月8日には、市長から提出を受けた資料を用い、3本計140分弱の音声データを聴取し、松岡議員並びに、中川吉郎建設局長、土井強道路総務課長、原田学契約課長、森貴之公園部長、柳本秀一公園整備課長、竹田敏朗公園緑地課長、舟引隆文総務局長及び澤野真人事課長(職名は事案当時のもの)を証人として招致することを決定し、1月21日に、松岡議員及び中川建設局長以下8人の市職員の証人尋問を行った。

また、尋問過程で、松岡議員が関与し、不適切であると疑義が持たれる新たな事案(以下「疑義事案」という。)も複数発覚した。

1月18日には、松岡議員から証人尋問時における補助者の同席許可願いが書面にて提出されたことから、前回開催の本委員会の協議で、補助者の同席は認めないことに決定していたが、再度協議を行い、許可することについて賛成少数で否決した。

2月1日には、疑義事案の今後の取扱いについて確認し、総務局長等から、「市の市議会議員による不当要求行為に対する再発防止策に関する基本的な考え方」について説明を受け、協議した。

2月8日には、本委員会の最終報告に盛り込むべき事項について、骨子案を基に検討し、2つの事案の当事者である松岡議員の言動について、「姫路市議会議員政治倫理条例」(以下「議員倫理条例」という。)で規定する遵守規定違反及び職員倫理条例で規定される「不当要求行為」の認定並びに「パワーハラスメント」の該当性について、委員会としての判断決定も行い、さらに、本委員会の提言として、松岡議員に対する処遇や、適切な議員活動と市職員の公正な職務執行の確保のための基本的な方向性等についても決定した。

2月16日には、最終報告の草案を基に盛り込むべき事項について確認を行い、百条調査権に基づく本調査を終了すべきものと決定した。


2 調査結果

令和2年12月21日の初委員会以降、百条調査権に基づく記録請求や証人尋問など、合計7回にのぼる委員会を開催し、調査及び今後の再発防止策を検討した。

以下、各委員会開催日において確認された調査結果について報告する。

⑴音声データの聴取による調査結果

1月8日に開催した本委員会にて、2つの事案に係る音声データの聴取等により、面談時における詳細な事実確認を行った。

まず、道路台帳システム事案について、松岡議員は、道路台帳システムに関する業務がベンダーロックインの状況にあり、システム版権を有する現契約業者等による独占状況にあることを問題視していたものであるが、同業務と直接関与しない契約課、人事課及び職員倫理課の職員も呼び出し、利害関係者である業者を同席させた上で、同業務から、現契約業者を除外するよう要望し、さらに面談時間も100分を超えるものであったことを確認した。

また、要望に当たっては、建設委員会や市議会議長へ働きかけを行い、同業務に関連する議案を否決することの示唆や、市職員に対し、公正取引委員会、検察や警察等を引き合いに出して調査を行うなどの心理的圧迫を加える旨の発言を行った。

次に、公園フェンス事案については、既に3メートルの高さのフェンスが設置されていた公園について、さらなるフェンスの嵩上げを求めるものであり、音声データが残る面談は2回に及んでいる。

まず、音声データの残る初回面談については、初めて当該公園のさらなるフェンスの嵩上げ要望を行ってから、僅か3か月しか経過していないにも関わらず、事業決定されていないことに対して激高し、机をたたきながら大声で、自身が国からの補助金獲得に並大抵でない尽力を尽くしていることを誇示しつつ、その補助金と比較すれば、フェンス工事代金が低額であることのほか、同業務とは関係のない事業における補助金の減額を示唆し、その責任を担当者に転嫁する旨を伝え、早急にフェンスの嵩上げ工事を実施するよう要求するものであった。

また、音声データの残る2回目の面談については、当該公園のフェンスの嵩上げ工事は、前回の面談後、事業化を決定していたが、担当者と自治会長の協議の場において、自治会長に対する担当者の礼を失した対応や予算を理由として、工事実施が不確定である旨の説明に対して不満を持ち、総務局長及び人事課長も同席させ、組織統制上の問題として上意下達が不十分であることを指摘したほか、家島・安富地域事務所への担当職員の異動要求や罵倒、同業務と関係のない事業における補助金の減額示唆とその責任を担当者に転嫁する旨の発言、さらには、自身の存在を畏怖させることを求めるような発言を行い、前回同様、工事施工の要求を行ったことが確認された。


⑵証人尋問による調査結果

1月21日に開催した本委員会で実施された証人尋問に関しては、まず松岡議員に対して、音声データにおける発言は自身の発言であることや、議員倫理条例を熟知の上で政治家として活動していることを確認し、是認する旨の証言を得た。

その上で、道路台帳システム事案における現契約業者の除外を求める発言は、法的根拠がないことを認知していたものの、独占状況の解消を議員の職責として考え要求したこと、また、公園フェンス事案における人事異動要求は、異動先については、思いつきで出た言葉であり、人事異動要求もその場限りで、強い意思・目的意識があるものではなかったとの証言をした。

なお、100分を超えるような職員の拘束や、机をたたきながら、短期間で事業化を要求するような行為については、いわゆるパワーハラスメント行為や違法行為でないとの認識であり、自身にとっては普通の言動であるとの認識を示した。

次に市職員側の証人尋問に関して、道路台帳システム事案について、中川建設局長、土井道路総務課長、原田契約課長に対して尋問を行った。

松岡議員からの要求について、土井道路総務課長からは、「業者の同席に圧力を感じ、現契約業者の除外を求める行為は、不当要求行為であると感じた。」、原田契約課長からは、「現契約業者の除外を求める要求は、不公平であるとその場で答え、かつ、不当要求であると感じた。」との証言を得た。なお、松岡議員によるその後の本業務への影響については、中川建設局長及び土井道路総務課長とも、明確に否定した。

また、記録票兼報告書の「不当要求行為のおそれ」の判断については、中川建設局長及び土井道路総務課長の証言から、当初、建設局においては「不当要求行為」と判断し、意思決定を経て、職員倫理課長に回付していたが、同課長から、松岡議員の行動が直ちに犯罪行為であると言えない以上、「不当要求行為」として認定することは困難であるとの意見があったこと、さらに、土井道路総務課長から職員倫理審査会にかけるよう提言を受けたものの、最終的に中川建設局長が、当該事案は一過性のもので、議員との関係の特殊性にも配慮する必要があると感じたことから、総合的判断で「不当要求行為のおそれ」に変更したことが判明した。

次に、公園フェンス事案については、中川建設局長、森公園部長、柳本公園整備課長及び竹田公園緑地課長に対して尋問を行った。なお、当該事案は、事前調査で、契約金額的に、本来入札案件となる工事であったが、2つの工事に分割され、見積合わせで施工されたことが判明している。

当該工事の必要性については、いずれの証人からも、地域住民が公園利用者から被害を受け困窮しており、対処を求める要望があったとの証言を得られたが、森公園部長からは、「他の公園とのバランスが取れたものではなく、松岡議員からの要望が工事決定に至る大きな要因であった。」、柳本公園整備課長からは、「他の公園についての要望もある中、当該公園の優先順位を上げた。また、フェンスを3メートルに上げて、2年ぐらいで4.5メートルに上げた例は、ほかにはない。」との証言を得た。

さらに、入札案件を2つに分けたことについては、中川建設局長及び柳本公園整備課長ともに、松岡議員との面談後早急に工事が決定したため、速やかに対応する必要があったとの見解を示したが、両者とも不適切な手法であることは認識していたとの証言を得た。

また、記録票兼報告書については、竹田公園緑地課長から、松岡議員の要望は、内容より仕方が、職員倫理条例で規定される「不当要求行為」の一つである「社会的相当性を逸脱する言動」に該当すると判断したが、断定しきれるまで自信が持てなかったため、決裁過程で不当要求行為への修正が入ることを期待しつつ、「不当要求行為のおそれ」で決裁したとの証言を得た。

最後に、いわゆるパワーハラスメント等への認識に関しては、舟引総務局長や澤野人事課長も含めて尋問を行ったが、当該事項の尋問を行わなかった原田契約課長を除き、舟引総務局長、中川建設局長及び澤野人事課長以外の4人の市職員は、「パワーハラスメントを感じた。」との明確な証言であったのに対し、舟引総務局長は「言動に威圧感は感じた。」、中川建設局長は「そう感じた場合もある。」、澤野人事課長は、「当時の現場では、そう感じなかった。」と証言しており、対応市職員と、局長及び総務局職員との捉え方にかなりの温度差があることが判明した。


⑶市の市議会議員による不当要求行為に対する再発防止策について

2月1日に開催した本委員会では、総務局長より、再発防止策に向けた課題整理のため職員倫理アンケートの実施や、今後の市の取組み及び市議会との今後の検討事項についての説明を受け、協議を行った。

市議会議員が行為者の場合、「不当要求行為のおそれ」事案であっても、議会に報告を行うほか、議会と市当局が共同で協議会を設置し、明文化したルール作りを行うべきである等の建設的な提言がなされた一方、記録票兼報告書における「不当要求行為のおそれ」区分を残すことや、職員倫理審査会の在り方や活用方法について、見直し検討がなされていないなど、職員倫理条例の運用方法について、抜本的な改善が必要である。


⑷「議員倫理条例」及び「職員倫理条例」との関係等について

2月8日に開催した本委員会では、最終報告に盛り込むべき事項について、骨子案を基に検討を行い、さらに、松岡議員の言動に対する、「議員倫理条例」における遵守規定違反や「職員倫理条例」で規定される「不当要求行為」への該当性、また、「パワーハラスメント」の該当性について、本委員会としての判断決定を行った。

その結果、本委員会は、議員倫理条例における遵守規定違反について、道路台帳システム事案では、「現契約業者の除外」要求が同条例第3条第1項第1号に、本業務策定に当たり現契約業者との事前相談を明確に否定する担当者に対し、威圧的かつ心理的圧迫を与える発言を投げかけたことが同項第4号に、また、建設委員会の委員長の肩書とその影響力をもって、委員会に根回し、同事業に関連する議案の否決を示唆する言動が同項第5号において、それぞれ違反することを、また、公園フェンス事案では、「机をたたき大声を出し、職員に威圧的で品位のない数々の言葉を投げる。」などの言動が同項第4号に、「職員の異動要求」が同項第6号にそれぞれ違反することを、全会一致で認定した。

次に、職員倫理条例に規定される「不当要求行為」の該当性について、道路台帳システム事案では、「現契約業者の除外」要求が同条例第2条第4号オで規定される「不当要求行為」に、建設委員会の委員長の肩書とその影響力をもって、同事業に関連する議案の否決を示唆する言動が、同号カで規定される「不当要求行為」に、それぞれ該当することを、また、公園フェンス事案では、「机をたたき大声を出し、職員に威圧的で品位のない数々の言葉を投げる。」などの言動が、同号アに規定する「不当要求行為」に、「職員の異動要求」などの言動が同号カに規定する「不当要求行為」に該当するものと、全会一致で認定した。

さらに、「パワーハラスメント」の該当性については、この言葉自体、抽象的多義的で、現在の法令等でも明確に定義されているとは言い難いとはいえ、市職員の証人の多くは、松岡議員からの発言要求をいわゆる「パワーハラスメント」に該当すると証言していることから、委員会においては、松岡議員の言動は、社会一般通念上の「パワーハラスメント」に該当するものとして、全会一致で認定した。


3 本委員会の提言

本委員会は、市が「不当要求行為」として認定した、松岡議員の関与する2つの事案の真実の究明と今後の再発防止が大きな目的であるが、調査過程で松岡議員に関する疑義事案も新たに判明している。しかしながら、本委員会としては、速やかに職員が安心して業務に専念できる環境を整えるため、提言に当たっては、迅速性を重視し、各問題の対応の指針となる方向性の提示、勧告にとどめるものとする。


⑴松岡廣幸議員に対する処遇について

調査結果で示したとおり、本委員会は、松岡議員の言動を、「議員倫理条例」においては遵守規定違反があり、「職員倫理条例」においては不当要求行為であると認定し、さらに、社会一般通念上であるとはいえ、パワーハラスメントにも該当すると認定した。

また、松岡議員の言動は、多くの対応市職員にとって、パワーハラスメントを伴った不当要求行為であると認識されており、市職員の公正な職務執行を大きく阻害するものであったことは明白である。

よって、松岡議員に対する処遇については、本委員会の調査結果に基づき、辞職勧告決議を視野に議会運営委員会で速やかに検討されたい。

また、証人尋問において、職員を守るための防波堤ともなるべき、担当の総務局職員の不当要求行為に対する感度が鈍く、刑法への抵触検討は一顧だにしていないことが明白となっている。当時の状況を最も熟知している者は、現場で同席していた市職員であるため、再度、状況の確認や刑法への抵触について真摯に検討を行い、市職員のリーダーたる市長が率先して必要な法的措置を講じるべきである。


⑵適切な議員活動と市職員の公正な職務執行の確保について

本事案により毀損した市議会議員と市職員との健全な関係の再構築には、市当局から提案があったとおり、再発防止についての取組みが双方に必要である。

しかしながら、市民の負託に応えるための市議会議員の議員活動に対する過度な制限は、行政を監視する責務を担う正当な議員活動を阻害するおそれがあり、また、市当局が考える改善案についても、今回発生した事案によって露呈した職員倫理条例の運用における根本的な問題点にまで切り込んでいない。

よって、双方が忌憚なく問題点を指摘、改善し得るよう、速やかに議会と市当局による共同協議会の立ち上げを行うべきである。

また、協議会における議論には相当時間もかかることが想定されるため、当面の間、市議会議員の行為が「不当要求行為」及び「不当要求行為のおそれ」と判断された場合は、速やかに議長まで報告することを市長に求めたい。


⑶新たに判明した松岡廣幸議員が関与する疑義事案について

本委員会において新たに判明した、松岡議員が関与する疑義事案は複数存在し、いずれも本委員会だけで、その問題点の整理、事実確認等を進めることは、余りに効率が悪く、時間が非常にかかり過ぎるものである。

事案調査のきっかけとなる基礎調査は、本委員会において実施し、資料提供を行ったことから、今後の調査は、所管の各常任委員会や本会議で徹底的に行い、審査の過程で、必要があると判断すれば、当該常任委員会に百条調査権を委任する、若しくは、新たな百条調査特別委員会の設置も検討されたい。


4 最後に

本事案は、市民やマスコミの関心も高く、この問題の解決は、姫路市議会に対する信頼回復にとって必要不可欠である。

松岡議員には猛省を促すものであるが、我々議員全員が、この事案を教訓として、自らを戒めなければならない。そして、特定の市民、団体、企業、地域の利益代表ではなく、全ての市民の奉仕者として、その責務を果たすことを強く要望したい。


以上、調査結果報告とする。

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